第1章 雄英高校
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「あら、もうこんな時間かい!引子ちゃん、こんなに長くいてごめんなさいね。」
「いえいえ、私もこんなに長話しちゃって……。」
もうあっという間に夕方になってしまった。話に出たのは、引子さんの息子である"いずく"話に私の話にお婆ちゃんお手製の煮物の作り方などと話題が盛り沢山。暇だなという気持ちは出なくて、ずっと頷いていた。
「すみれちゃんもごめんね……、退屈だったでしょう。」
「いいえ、退屈じゃありませんでしたよ。」
「本当?……もし"いずく"と一緒のクラスになったら、よろしくお願いね。」
いずく。緑谷いずく。
いずくって珍しい名前だからすぐに覚えられそう。頷くと引子さんはまた、微笑んでくれた。
凄く表情豊かで、良い人ぽさそう。玄関まで送ってくれて頭を下げながら、お婆ちゃんと一緒に部屋に戻って行った。
玄関に入れば、お婆ちゃんがリビングに向かいながら「良かったねぇ。」と言われて首を傾げた。
「すみれちゃんにお友達が出来るかもしれないね。」
「お友達……?」
いずくとお友達?いずくがどういう方なのか分からないので全然想像ができない。お婆ちゃんの言葉が疑問に思う。
お友達か……全然想像できない。友達ってどういう事だろうか?
考えているときりがないので、考えるのをやめた。お婆ちゃんが夕飯の準備に入ったので、私も台所に入り一緒に野菜などを包丁で切る準備をした。