第1章 雄英高校
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「すみれちゃん、こっち手伝ってくれないかい。」
「分かった。」
月日は、遅いようで早い。あれよ、あれよとあっという間に卒業式を終えてしまった。
あのヒーロー科で有名な雄英から推薦を受けて、推薦入試というものを受ける事になる。
しかし、それを受けたら普通に合格ラインを越していたらしく合格した。
『すみれちゃんってヒーローになりたいの?』
私の合格した事を耳に入ったのかクラスメイトから聞かれたが、曖昧に返事を濁らせといた。深い意味はない。
何だかちゃんと言葉に出来なかったので「うん。」と答えておいた。
勿論のこと、田舎中学校から雄英までは通えなくて、お婆ちゃんと一緒に静岡に引っ越す事になって今は、新しい家に棚とか置いたりしている。
私と一緒に来たお婆ちゃんだが、前に住んでいた所はお婆ちゃんの地元だったので良いのか。と聞いたら「私は新しい生活をしてみたいの。」なんて言っていた。
マンションの部屋を借りて、ふたり暮らしである。お爺ちゃんは、前の家に残っていてそちらも心配だけども近所の方が居てくれるから何とかなるらしい。
「ある程度、片付いたし引っ越しの挨拶に行くかね。」
「お婆ちゃん、私が荷物持つよ。」
引っ越しの挨拶に近所の人に渡す為の品を手に持つと「すみれちゃんは優しい子だねぇ……。」と褒められた。
優しい子よりも当たり前の事をしているだけだ。
お婆ちゃんに着いて行くと、隣部屋の表札には"緑谷"と書いてある。
お婆ちゃんがチャイムを鳴らすと、「はーい。」と女性の声が聞こえてきた。
そうして、扉をあけて見えたのは少し小さめで大きな目をした黒緑な髪の毛をした女性が微笑んでいる。