第1章 雄英高校
「植村少し良いか?」
ノートを国語の先生に提出をし、職員室から出ようとした時、呼ばれては振り返ると担任の先生が私を見ていた。
その先生は凄く苦手だ。授業では私ばかり当ててくるし、意地悪ばかりする。
そんな担任に向かって、「どうしたのですか?」と声を出すと私の方へ近づいてきた。
「……お前にあの雄英から推薦が来ている。」
「雄英からですか?」
その名前はこの世の中、誰でも知っているだろう。
倍率300倍でヒーロー科で有名な国立雄英高等学校。多くのヒーローが母校である。何故、そんな学校が私に?
担任先生は戸惑いが隠せてない。軽く笑っているが、信じられないという顔をしている。
「凄く良いことじゃないか。有名な雄英から推薦が来るなんて滅多にないぞ。」
「は、はぁ……。」
情けない事に全然状況が掴めていない。こんな田舎な中学に雄英から推薦がくるなんて何かの間違えではないのか?とまで思えてきた。
先生は椅子を出し、「そこへ座れ。」と私に一声かけてはパソコンに目線がいく。素直に座ると私にまた目線を向けた。
「しかも、ヒーロー科推薦だぞ。」
「ヒーロー科……?何故、推薦されたのか理由を教えてください。」
私に"ヒーローになれ"と言いたいのか。これまた信じられない事が起こっている。
先生は頭を掻きながら、気まずそうに「きっとあの事件が関係していると思う……。」と段々声が小さくなっていった。
あぁ、そういう事か。あの事件が関係しているのか。
そう思うと雄英から推薦がきたことが理解できた。嫌、理解しなければいけないんだ。
「……それって、私をヴィラン側につかせないように見張っているんですよね。」
「な、なわけ無いだろう!植村には、ヒーローの素質があると言う事で推薦したんだろう。」
先生は、素早く庇うような言い方をした。しかし、それでも私の心は何も響かなかった。
私はどこに行っても監視の元で生活していかなければいけないらしい。