第3章 可哀想な瞳。
飯田さんが仕切ってくれたバスに乗り込み、教室では席が近い轟さんの隣に座った。
近くには、百さんとお茶子さん、前には響香さんがいる。
バスは発車をし、ゆっくり揺れていて凄く眠くなりそうだ。隣にいる轟さんは寝ている。私も眠ろうかな。
「あなたの個性オールマイトに似てる」
「えっ!?そうかな?いや、でもあの…僕はえっとその……。」
梅雨さんが出久さんに質問しているのを盗み聞きしながら、下を向き目を瞑る。確かに、オールマイトと似ているような感じがする……。なんだろうか、パンチする勢いとか……。
でも、怪我してしまうところはオールマイトと違うところか。
「派手で強えと言ったら、爆豪と轟だよな。」
「爆豪ちゃん、キレてばっかだから人気でなさそう。」
「んだ、コラ!出すわ!!!」
切島さんと梅雨さんが爆豪さんをイジり、凄くキレられているのを聞きながら、暗く頭の中もなにも考えられなくなった。
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「おい、起きろ。」
凄く冷たい声が聞こえて目を覚まし、声が聞こえた方へ顔を向けると冷たい顔をした轟さんが私を見ていた。
あぁ、私が席から立たないと降りられないのか。
「起こしてくださり、ありがとうございます。そして、すみませんでした。」
席から立ち上がり、道を作ると無言で私の横を通り過ぎた。……凄く怒っていたぽい。しかし、それよりも冷たい目は凄く頭の中に残っていた。印象的。
轟さん、何かありそうだ。後ろ姿を見ながら、自分自身もバスから降りる。
そこには、スタジオみたいななんだろうかな……ライブ会場みたいな施設が見えて少し心が弾んだ。