第3章 可哀想な瞳。
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「今日のヒーロー基礎学だが俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見ることになった。」
12時50分、昼食を食べ終わってうとうとと眠くなる午後だがヒーロー科は違う。皆が楽しみにしているヒーロー基礎力の時間だ。1人って……どのヒーローが見てくれるのだろう?そう考えているとバッと出されたのは、"RESCUE"と書かれてある紙を相澤先生がかざした。
「災害水難なんでもござれ。レスキュー訓練だ。」
レスキュー訓練、これまたヒーローぽいことやるな。会場は少し遠いところにあるらしいので、バスに乗るらしい。少し遠足気分みたいな感じだ。
準備をしようと席を立ち上がろうとした瞬間、相澤先生が私の方を見た。
「植村、少し前に来い。」
「はい。」
ほんの少し、楽しみにしていたら相澤先生に呼ばれた。
相澤先生がいる教卓まで行くと渡された紙袋。茶色の紙袋なので中身は見えてない。何だろうか、これ。
「お前がコスチューム要望に書いてあった手袋だ。」
「今なんですね。ありがとうございます。」
「当たり前だ、合理的ではない。たく、サポート会社泣かせ屋だな。」
サイズを書くのを忘れていて遅くなってしまった皮のデミグラブ。至急、サポート会社に無理を言ってくれたらしく、それが今届いた。デミグラブを受け取り席まで戻った。
きっと更衣室でそれをつけてみろ。と言うことなんだろうな。
コスチュームの入ったケースと紙袋を持って、更衣室まで向かった。
「すみれさん、今日はポンチョを羽織るんですね。」
「前の室内訓練、肌寒かったので。」
「凄く可愛いですわ。」
更衣室へ行き、着替えていたら百さんにそう言われた。
ポンチョ姿を鏡で見たけれど、てるてる坊主みたいなので可愛いかどうかよく分からない。疑問を抱きながらも、お礼を言っておいた。