第2章 お友達
無事にヒーロー基礎力が終わり、更衣室まで行き制服に着替えていると後ろからちょんちょんと突っつかれたような感覚になる。
「ケロ、蛙吹梅雨よ。もし良ければ友達になりましょ。」
後ろを振りむくと私よりも少し小さくて、髪の毛が凄く長く目がくりくりしている女子が私を見ていた。
まるで蛙みたいだが、そんな不細工な蛙ではなく可愛い蛙さん。
友達……。お婆ちゃんの"お友達になれるかも"という言葉が頭の中に浮かんだ。私はこんな体験は初めてだ。
「わ、私も!」
「私も、私もー!」
他の女子も蛙吹さんの言葉に賛同し、そう私に呼びかけた。友達か…新たな関係を築けそう。胸が暖かくなる感覚になった。
「……もしかして、無理な感じかしら?」
え……?返事にどもっていると感じられたのか蛙吹さんは寂しそうにそう言う。表情自体は変わってないが声が寂しそう。
周りの子も凄く悲しそうだ。何だろう、凄く胸が痛い。
全然、悪い気はなかったし逆に言えば、凄く心が暖かいような感覚がした。
「急にごめんなさい。もう少しゆっくりと築いていきましょう。」
そう言うと蛙吹さんは着替えに戻ってしまった。
……悲しそうなその姿に胸が締め付けられる。よく言われるのが『表情が変わらなくて怖い。』。
もしかして、それが原因なのかな?胸がキューと締め付けられて凄く心臓が痛い。
人の感情や自分の感情が分からなくなった私にはどうすることも出来なかった。
続けていたボタンを占め直す。何故か手は震えたままだった。