第12章 S&N 2
初めはだいぶぎこちなかったけれど、日が経つにつれて少しずつ日常が戻ってきた
勘が良いのは相変わらずだったから、仕事もほとんど違和感がないくらいにこなせるようになったし
先に言ってしまっていたからなのか、俺のことを意識してくれたみたいで、何となく恋人関係と言えなくもないくらいにもなれた
ソファーにいるときはくっついて座るし、前みたいに俺に甘えてくれるようになった
ゆっくりで良いと伝えていたし思ってもいたけど、人間、1つが満たされるとそれ以上を求めたくなるんだ
今はまだキスもしてない
和は記憶が無くて俺とのことを忘れているんだから当たり前だけど
その気がない人に無理矢理するのは趣味じゃないから
それはちゃんと求め合ってしたい
解決は呆気ないほど簡単だった
2人で飲んでたときに和から誘われた
「何でキスもしてくれないの?」
「前は抱いてたんでしょ?」
「俺のこと嫌いになった?」って涙目で
嫌いになってなんかないよとそこは否定してから
思わず「良いの?」と聞いたら、真っ赤になって目をそらして
「早く思い出したいから……翔さんに愛されていたこと」
そんな可愛いことを言われたらもう止まれなくて
ぎゅっと抱き締め唇を重ねた
寝室に場所を変えて愛し合った
別れてからも時間が経っていたから、こういうことをするのは久しぶりであんまり余裕がなかったけど
できるだけ優しく愛したつもり
コトが終わって一緒に風呂に入り、俺の腕枕で微睡んでいる和に愛しさがこみ上げる
「……翔さん……?」
「ん?」
「……好きだよ」
「俺も好きだよ」
「ありがと……」
「寝ていいよ?」
「ん……」
「おやすみ」