第10章 1ページ完結物
A&N
All N side
俺たちが出会ったときのこと覚えているかな
あの頃は毎日一緒にいて、そばにいることが当たり前になっていた
近くに居すぎて趣味嗜好が似てきてしまうくらいだった
いつからだろう
あなたが分からなくなってしまったのは
あなたのことなら本人以上に分かっているつもりだったのに
縫い目がほつれるように少しずつ少しずつ
知らないことが増えていた
あなたの笑顔が大好き
いつも太陽みたいに暖かで明るくて周囲を幸せにできるあなたは天才だと思う
分かりやすくて気持ちが手に取るように分かっていたのに
今では何も分からない
それは俺がもうあなたを愛していないからなのか
あなたが俺を愛せなくなったからなのか
一度無くした愛は戻らない
俺は今でもあなたが好きで
でもそれが愛かどうかは分からない
確かめたくて引き留めようとするけどあなたは行ってしまう
全部幻だったと言うの?
輝いていたあなたとの日々
あなたが俺に向けてくれた眩しいくらいの笑顔も全て
信じられない信じたくない
だから俺は探してしまう
変わってしまったあなたの中にあの頃の記憶が一欠片でも残っていないかと
End