第1章 M&N
怒ってる潤くんのところに行くのはちょっと緊張する。
いや、かなり。
でも行かないという選択肢はない。
嫉妬してくれてるのは、ちょっと嬉しかったりもするし。
そんなことを考えながら、マネに送ってもらい、潤くんのマンションの近くのコンビニで降ろしてもらう。
マンションに着き、インターホンを鳴らす。
カメラに映るから応答なしですぐに開けてくれる。
M「…おかえり」
「ただいま」
仏頂面で硬い声。
だから俺もあえて明るい声を出さず、普通のテンションで返す。
俺が玄関に入ると同時に潤くんが鍵をかける。
靴を脱いで、家に上がり、先に立って行った潤くんを追いかける。
潤くんが無言だから、俺も何となく何も言えずにいた。
リビングに入り、ソファにぽすっと座る潤くん。
沈黙が気まずくて、そっと声をかけてみた。
「…ごめんね…?潤くん」
M「…悪いと思ってないだろ?」
「思ってるよ。ちょっとやりすぎたと思う。ごめんなさい」
M「…本当に悪いと思ってんなら態度で示せよ」
スッと立ち上がると俺のほうに迫ってくる。
強い目力に射すくめられ、思わず後ずさると、そのまま壁際に追い詰められた。