第14章 レモンの花(木兎光太郎)
こうちゃんは、ずっと私を守ってくれていたお兄さんで、ずっと大好きで、憧れていた。
だから、いざ恋人になったら、凄く緊張した。
私を唯一汚くないと思ってくれる人。
大きな背中は逞しくて、カッコいいのにたまに拗ねるのが可愛い。
手は繋げたけど、その先は私にもわからない。
私は、どこまでも汚い私が、許せないから。
好きになればなるほど、自分が汚していくような気がする。
念入りにお風呂に入った。
爪の先までブラシをかけて、しっかり除菌もした。
服も新品、下着も新しい。
靴もおろしたて。
「行ってきます」
今日なら、私は自分を許せる、気がした。
「今日も可愛いな!」
「…あぅ、ありがと……」
その努力もむなしく、私はこうちゃんの顔を見ただけで撃沈しそうだった。
こうちゃんと遊びに行くのは、小さい頃からずっと変わらなくて、私はいつも楽しくて好き。
いつも変わらず接してくれる。