第12章 ラムネ瓶にのぼる月4(月島蛍)
「私、蛍ちゃんの言うとおり、愚図だし、のろまだし、何してもずっとビリでね…。
でもマイペースに色んなこと頼まれて、少しずつだけど、色んなことが出来るようになって……。
毎日、それだけで楽しいんだ。
でも、大人になったらそうもいかないし、蛍ちゃんの言うとおり、お金にしなきゃいけないのはわかってる」
は僕が服の汚れを取っているのをお構いなしでそう言った。
「いいんじゃない?今のままで」
「ごめんね……、私、せっかくの、気持ちを……っ」
は泣き崩れる、そんな言葉が似合うかのように地面に膝をついた。
「ほら、汚い服が更に汚くなるよ」
「ご、ごめんね…!
いつも、こんな私に付き合わせてて…っ!
蛍ちゃんだって、色んなお友達いるのに、いつも私ばっかり付き合わせてて…!」
「それは違う」
確かに、はいつもジャージだし、部屋だって女の子らしくないし、可愛い服を着てもあっという間に絵の具だらけにするし。
でもそれだって、大切な彼女の一部で。
この、目の前の鈍感な大切な女の子には、もっときちんと伝えなきゃいけないことが、山程ある。