第12章 ラムネ瓶にのぼる月4(月島蛍)
「ごめん、。
たくさん嫌なこと言ったし、いつも君にキツく当たってた。
でも、でもそれは、不器用な感情の裏返しで。
僕は他の奴より解りにくいしデカいから見下してるようにしか見えないけど、皮肉しか言えないけど、真っ直ぐな気持ちもきちんとあるし、伝えたいと思う」
は虚ろな表情に少しだけ前のような明るさを出した。
見た人にはわかるか微妙なほどだけど。
それは、今、僕が求めているものだった。
「何にでも夢中で突っ走る君を、応援したい。
たまには手伝うし、意見もしてあげる。
だから、……」
「蛍ちゃん…………」
「あー、もう…」
瞬きし始めた彼女を見ると、ついつい言葉を飲み込んでしまう。
「好きって言ってるの。
察してよ、相変わらず鈍感だなぁ」
「蛍ちゃん…」
は大声で、
「ウソだ!」
と真っ赤な顔で叫んだ。
周りをキョロキョロして、
「どうせカメラでも仕掛けてるんでしょ!?」
とらしくない洞察力を発揮した。
まあ、そんな洞察力なんかないのは、昔から知ってるんだけど。
「ないよ、バカなの?」
「ほ、ほんとに…?」
「不満?」
「そ、そんなことないけど…」
「が僕に不満あったら、もう手伝わないけどね」
は少しだけ困ったような赤い顔をして、ゆっくり見上げてくる。
いつもなにかを作っているヒトとは思えないぐらいの不器用な唇に、そっと、優しくキスをする。
それは、否定を許したくない僕の小さな反抗心で。
断れないの性格にすっかり甘えた形になってしまった。
「蛍ちゃん、ずっと、好きだった…」
不意に言われたそれに、僕はどのくらい動揺しただろうか。
そっと置いたラムネ瓶に隠れるように、また一つキスを落とす。