第10章 ラムネ瓶にのぼる月2(月島蛍)
「僕、チャリ持ってくるから、もう溜め込んでる用事全部やろう。
買い物も頼まれた他の用事も、全部」
結論これが一番早い。
は思考は遅いが行動に移すと早い。
横で悩まれながらやるより、こっちが指示を出して動かした方がよっぽど早く、効率がいい。
「…えっと…。
この前のイベントのアンケート集計と次回の宣伝ポスター作り、パンケーキ作り、水泳クラブの子達の帽子の飾り作り、学校の音楽室の整理、演劇部の小道具作り、日曜日にやる町内会の撮影と料理、隣のおばさんちの犬の散歩、それから……」
「ストップ」
「え?」
「思ったより多い。順序だててやって。
日にち近いのから順番に組んで、空き時間に毎日やるやつを入れて、土日に大掛かりな物を……」
誰に何を教えているのか自分でもわからなくなった。
「そっか、蛍ちゃん、すごいね…!
私いつも思い出したことからやっていたから時間がかかっていたのかも」
は嬉しそうに笑うと、近くのベンチに腰掛けた。
鞄からノートとペンを取り出すと、予定を一つずつ書き出して、日付と必要な物を入れていった。
ざっと1ヶ月内のスケジュールを確認すると、15個くらいの用事を引き受けており、尚且つハードな物が多かった。
最早プロレベルである。
「、これはお金取っていい」
「え!?ダメだよ!
私ただの素人だし、経費は貰ってるし」
「でも、の時間は買い戻せないんだよ。
時間を売っていると思って少しでも雑用で稼いだ方がいいよ。
あとは、値段を付けたら頼む人も減るし、の負担も減ると思うんだ」
「でも、今までやらせてくれてた人のことを考えると……」
「言いにくいなら言ってあげる。
兎に角、またが倒れるのを見たくないって言ってんの」
「……ぐっ……」