第10章 ラムネ瓶にのぼる月2(月島蛍)
は、近所に住む1つ上の幼馴染みだ。
どんくさくてトロいくせに、いつも何かと雑用を任され、期待以上のクオリティーに仕上げ、好評に好評を呼んで多忙になっていく。
今年の夏は早くして暑くなった。
異常気象の続くここ最近の影響だろうか。
その日も俺は、残念ながら彼女の雑用に付き合わされていた。
言われるがまま、荷物持ちとして付き合うことにはしていたが、あまりの暑さと集中力の低下に、苛々も限界だった。
「あとどこ行くの?」
「あと布買ったら終わるよ、ごめんね?
終わったら奢るから、アイス食べよう」
「…ジュースもつけて」
「いいよ」
彼女はのんびりそう返事をして、手芸品の店へ入った。
「あ、そうだ、蛍ちゃん、学童でお菓子作りイベントやるんだけど、なにがいいかなって相談されてるんだよねぇ…。
何がいいかなぁ?」
「……また勝手に引き受けたの?」
「ち、違うよ!頼まれた!うん、頼まれた!」
はあ、と思いっきりわざとため息を吐いた。
「ご、ごめん……」
「どうせちび向けでしょ?
パンケーキとかでいいんじゃない?
安上がりだし」
「そっか、それいいね」
「で?他は?」
「ほ、他って?」