第1章 ジャンヌダルク(及川徹)
そんなのサポートを全力で受け、全力で支えてくれたのに……。
その年、敗けた。
皆で泣きながら帰った。
このメンバーで出来るのは今年最後だった。
そんなことを言いながら。
は泣いていなかった。
あれだけ頑張っていたのに、涙ひとつ見せず、眉間ひとつ傾かず、いつもの機械のような、人形のような冷たい瞳で俺たちを見ていた。
さらさらといつものように記録を書くと、いつもの作業をいつもと同じようにし始めた。
俺はそれが、納得いかなくて。
(だって、そうじゃん、アイツは、なんの感情もなく今までやってきたわけ?
どうせ自分は来年もあるし?
そんなこと考えながら俺たちを見ていたわけ…?
3年は、俺は、どうでもいいのかよ…っ!!)
打ち上げに来なかった小さな身体を学校に戻って探した。
どうせ、部室だろう。
今日の洗濯して、洗い物して、アイツはいつも通りの日常を過ごすのが、心底許せなかった。
「くそ、くそ、くそ!!」
部室を思い切り開けると、は驚いた顔をしていた。
目にも頬にも、大粒の涙が流れていた。
「お、っ!及川せんぱ…っ!!!」
「……っ!」
「やだ!!!見ないでっ!!」
「う、うるさい、ブス!勝手に帰りやがって!」
「だって…っ!!だってぇぇぇ!!
わぁあああああっ!!!!」
「!?」