第1章 ジャンヌダルク(及川徹)
次の日も次の日も、に突っ掛かった。
部活の休憩中、終わった後。
兎に角、このチビで童顔でつるぺたな女に、興味がわいて仕方がない。
「家族構成は?」
「父、母、父方の祖母、弟一人」
「弟?!」
「はい」
「え?弟はもっと小さいの?」
「…………お、弟は…、180あります…」
「ぶっはっ!!!」
「……」
「全部持ってかれてるじゃん!!!」
俯いて気まずそうにノートを書くを指差して大爆笑した。
さぞ弟は逞しく、でかいのだろう。
「弟はバレーじゃないんだ?」
「バスケット部ですね」
「180じゃそうかー、バレーかバスケかってとこだな」
「運動能力も持っていかれています。
母は…どうして上手く半分に分けてくれなかったのでしょうね…。
仕方ないことなんですけれども」
「でも、の頭があるのはでかい。
青葉はのお陰で凄く進んだと思う」
そう。
彼女のサポートはとんでもなく役立っている。
一人一人のクセや、性格に合わせてのメニューをコーチや監督を通して指示され、俺たちは今までより更に強くなった。
低い位置にある頭を撫でると、この前より不思議な感覚になった。
髪から伝わる彼女のじんわりとした熱に、指先から脳に伝わる、温かい気持ち。
「……?」
「……それ、止めてください。
子供扱いされているみたいで、イヤです」
手を退かされるのに、彼女の小さな手が俺の手首を掴む。
なんとなく、慌てて退いた。
「…ごめん、て、は子供にしか見えないけど」
「次言ったら、裁断鋏でちょんぎりますから」
「何を!!?」