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【短編集】【HQ】純情セレナーデ

第7章 本日は晴天なり(日向翔陽)


日向くんは、今日も色んな話をしてくれた。
部活の先輩のこと、よく聞く音楽、最近ハマっているゲーム、ずっと応援していた芸人さんが急に人気が出てきて寂しい話、他愛もないものばかり。
「あっ!ごめん!また俺ばっか話してる!
は面白いことあった!?」
「…最近、天気予報が当たらないな、ってくらいかな?」
少し考えてみたけれど、特に何も浮かばなかった。
なんとなく、今日はそのことばかり考えてると思って、話題として出してみた。
「日向くんの天気予報の方が当たってる」
「コツがあんだよねっ!」
「雨のにおい、でしょ?」
「それもなんだけど!あとは!
雨が降りますようにって念じながら、降らせたい日のカレンダーにカタツムリを描くんだ!」
「……」
あまりにも可愛らしく、幼稚な方法に少しだけ戸惑う。
「え?じゃあ、これは日向くんが降らせてる?ってこと?」
訳がわからなくて、たくさんの疑問をぶつけてしまう。
「そうー!半分直感!半分俺の力!」
「まさか」
「いやいや、ほんとだって!
今日は大雨になるように、カタツムリ、3匹描いてきた!!」
「……いつもは?」
「1匹」
「…ふふっ」
あまりにも馬鹿らしいやり取りに、何ヵ月ぶりかに声を出して笑った。
こんなに楽しく笑ったのは、いつぶりだろう?
受験でカツカツだった上に、慣れない新しい学校での生活、友達もいなくて、1人寂しかった。
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