第7章 本日は晴天なり(日向翔陽)
「はあ、おっかしい…」
「やっと笑ったな!」
「うん、面白かった!」
「ほら、こっち。濡れるよ」
そう言って肩を寄せられる。
「あ、ごめん…!」
自分からそうしておいて、顔を赤くして謝られる。
「いいよ、ありがとう」
「うん、肩、濡れてないみたいで、よかった…」
「次は傘、持ってくるから、カタツムリ描いた日教えてくれる?」
「いいよ!携帯、教えて!」
「後で交換しよう」
「あ!!!」
日向くんは急に大声を出して、何かを思い出したようだった。
「な、なに?」
「ダメ!!が傘持ってきたら、一緒に帰れなくなる……か、ら…」
そこまで言っておいて、言ってしまった、という顔をこちらに向けてくる。
「い、今の!なし!あれ!でも、ケー番……」
「……じゃあ、天気予報以外の話が聞きたいから、交換しよう?
傘、忘れたら、またお願いしていい?」
「…!!!」
顔を赤くしながらこくこくと頷くのが、凄く可愛かった。
赤い顔にオレンジの髪、その笑顔は、本当に太陽だった。
「なんだ、天気予報、当たってたな…」
「え?なんて!?」
「ううん、なんでもない」
隣にいつもいる限り、雨の日も、快晴。
その日から、日記は毎日晴れマークを描いた。