第6章 騎士と気まぐれ姫(菅原孝支)
「あ!エッチなことするお店じゃないよ!
セクハラはされたけど…」
「わかってる!
そうじゃなくて、心配なんだ。
いきなり黙って一人暮らし始めて、いきなりたくさん彼氏作って、わざと危ない目に遭おうとしてるだろ?」
宝石みたいな瞳で見つめてくる。
セミの声がうるさいのに、彼女の雰囲気は相変わらず似合わないくらい静かだ。
「菅原くんが、心配してくれるでしょ?」
彼女は、それはそれは、綺麗に笑った。
なんて可哀想な人なんだろう。
人に心配されたくて、わざとそういうことをするんだ。
「心配する……。
さんが悲しんだり、ツラかったりしてるところ見ると、自分がしんどいより数百倍はしんどいし、自分の身体が裂けそうになる」
大きな瞳を更に大きく見開いて、驚いたように見てきた。
そして、優艶な顔をゆっくり歪めながら、
「ごめんね…!」