第6章 騎士と気まぐれ姫(菅原孝支)
親には色々言い訳したが、この気まぐれ過ぎる姫が唐突に我が家に訪れたことで事態は一変した。
受験生が何をやっている、彼女の家に居候とはなんだ、とか怒られると思ったが、この…人に媚を売る天才はなんなく俺の親と和解し、たまに帰ってくるのを約束に、そのまま寝泊まりを許してもらえることになったのだ。
「菅原くん、プール行こう?
あっついし、遊びたいー」
確かに、この家にはクーラーがない。
夜は寒いほどだが、昼間は西日をもろに食らうため、とてつもない暑さだった。
「夜のが捗るし、そうするかー…」
「やったぁ!
新しい水着買ったんだぁ」
「…は?新しい?
さんお金のやりくりどうしてんの?
親の仕送りじゃ無理でしょ?」
「バイトしてたんだよ」
「まあ、そうだろうけど」
彼女はビニールバッグに必要な物を入れ、いそいそと衣装ケースを開けて水着を探していた。
「なんの?コンビニとか?」
「……菅原くんが心配しそうな、ところ…」
大体察しがついたところで、一気に怒りが込み上げてくる。
「は?年齢誤魔化して?」
「うん…、でももう、辞めたよ?」
「当たり前だろ!」
さんの媚は、言った通り、金が取れるレベルだった。
「まだ怒ってるの?」
「怒ってる」