第5章 迷子の子犬さん(澤村大地)
次に会った時は、同じ委員会だった。
うちの体育祭は、委員会ごとで役割が決まっており、今年は用具係だった。
打ち合わせで、レースの際のカラーコーンの配置を確認しているところだったが、彼女はまるで理解していなかった。
書類と黒板を見比べていたが、頭には疑問符が見えるかのようだった。
「大丈夫か?」
「だ………だいじょぶです!!」
「これ、間違えると走ってるヤツの迷惑になるぞ」
「……!!」
彼女はハッとしてから、しゅんと落ち込み、
「お、教えて下さい……」
と涙ぐみながら聞いてきた。
蛍光マーカーを持ち直し、
「校庭がこっちから見てこうだから、ここと…」
印を付けながら説明し、やっと理解した。
「あ!ありがとうございます!」
と花が咲いたように笑った。
その時から、彼女を目で追うようになっていた。
というか、心配でたまらなかった。