第4章 アンバランスな雌豹(山口忠)
彼女の顔は真剣そのものだった。
勿論、嫌じゃない。
そういう対象として見てもらえるのは凄く嬉しい。
でも、でも、そうじゃなくて。
そういうんだけの関係じゃなくて。
「は……俺の身体しか興味ないの?」
「…っ!」
彼女の顔がはっとする。
綺麗な顔が、綺麗に驚く。
(あれ?つーか、これじゃ男女逆…)
俺は無言のまま、の返事を待った。
「だって…、彼女って、そういうものでしょ?
気分次第で欲を満たすためだけでいいんでしょ?」
「な、何言ってるの?」
「私は山口くんが好き。
でも邪魔するつもりもない。
月島くんといる時の方が楽しいでしょ?
女の子と買い物なんて、楽しくないでしょ?」
「いやいやいやいや!」
あまりにも偏見の多すぎるその物の考え方に驚いた。
「元彼に、そう言われたの。
お前の愛情重すぎって。
美人が抱けるって喜んだのは一瞬だって」
「な、なにそれ!?」
「山口くんの邪魔はしたくないから、だから…」
「確かに、最初はちょっと戸惑ったけど…
俺、のこと、真面目に好きだよ…」
真面目にって言い方、変だけど、他に上手い表現が見つからない。