第4章 アンバランスな雌豹(山口忠)
「暇ならこの後付き合ってよ」
「……いいの?」
誘ってみると少し嬉しそうにする。
(嫌なわけではないんだ…)
よくわからない。
それでも、会う約束をするのは、決まって人のいない教室や、カラオケとか個室のあるお店で、たまにラブホテルなんかに呼ばれたりした。
別に、男としてそういう対象で見られるのは嬉しいけど…。
やっぱりなんかモヤモヤとする。
「ねえ、次の土曜、暇?」
いつものように薄暗い部屋で堂々と着替える彼女に聞いた。
「……暇、だけど…?」
「どっか行こうよ」
「…なんで?」
「………や、行きたいなって……」
え?俺達、恋人同士なんだよね?
すっげー不安になってくるんだけど。
は、普段とは変わらないけれど、少しだけ明るい表情をして、
「行く」
と短く返事をした。
ほんと、ツッキーに似てると思う。