第3章 レモンの木(木兎光太郎)
の潔癖は、半分は俺が原因でもあった。
昔、小学生の時に目を離した隙にはいじめっ子達に連れ去られてしまった。
身体も小さく、どんくさいところがあったせいか、よく目を付けられていた。
その時の流行っていたイジメと言うのが、生理用品を持っている女子を晒すという、でかくなってから考えるとおぞましいものだった。
『コイツ、持ってるぞー!』
『うわ、きったねー!』
『はもうきたねーな!』
『……うっ、ごめんなさい…っ!
かえして、おねがい…!』
小学校からかなり歩いた遊歩道のある公園。
レモンの木が、今年も綺麗に黄色の実を付けていた。
その下で、膝を抱えて泣いているをやっと見つけた。
『ううっ!ひっく…』
『やっと見つけた!帰るぞ!』
『こうちゃん、ごめんね、わたし、きたないから…さわっちゃだめ!』
『…は、きれいだ。
きたなくなんかない』
手を繋いで、帰り道をひたすら歩いた。
必死に離そうとしてくるのをずっと掴んだ。
以来、自分に対する強迫概念に駆られている。
何故か、少しなら俺は平気だと言っていた。
(少しなら……って、ちょっと傷つく)