第3章 レモンの木(木兎光太郎)
「…私は、こうちゃんの彼女じゃないよ…?」
「あ!!!!だ、!わ、わかってるぞ!!
物の例えだ、たとえ!!」
つい、その場の雰囲気に飲まれて口走ってしまった。
悪いように思われるだろうか。
怖がらせてしまっただろうか…!?
不安でだんだんとネガティブになってくる。
「一瞬でも、そんなことを言ってしまって悪かった…!
一発殴ってくれ!」
「殴らないよ…!
うん、殴らない」
頭を下げると、はよしよしと撫でてくれる。
いつだって、俺のが年上のくせに、こうやってしょぼくれると慰めてくれる。
その手に、幾度となく救われたし、それが好きだといつも思っていた。
は、今日初めて笑って見せてくれた。
幼い頃から変わらないその笑顔は、これから先も俺が守っていくと誓ったものだった。
(…まあいっか…)
例え、恋人が出来たとしても、俺が守っていけるんだもんな。
考えを改めて、そう思うことにした。