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【短編集】【HQ】純情セレナーデ

第3章 レモンの木(木兎光太郎)


「……ていうわけなんだけど、どういうことだと思いますカ!!?」
部活終わりにダラダラと喋りながら他の連中に見解を聞いた。
「うるさいです声がでかいです」
「いやいや、だって、付き合えって言ったこともないんでしょ?」
「ない!!!」
「え?好きってことも?」
「ない!!!!」
「じゃあ、……ダメですよ」
「はい、解散!」
「な、な、なんでだよ!!?」
なんでって、と間が出来る。
毎日一緒にいて、毎日今日の出来事を言い合って、たまの休日は一緒に買い物やカラオケって、普通の付き合うのと何が違うのかがさっぱりわからない。
「多分、ちゃんは、木兎さんのことをお兄さんくらいにしか思ってないですよそれって」
「おにいさん……」
絶望した。
完全に盲点だった。
それでは確かに近所のお兄さんだ。
あんまりだ。
この長い年数、俺はただ一人、片想いを続けているだけだったのだ。
「そういや、ちゃんて潔癖症じゃなかったっけ」
「そういえば、電車だといつも裾掴んでくるって自慢してたよなー?」
「それは、勘違いしそうですね」
そうだ、アイツはそんな悩みがあった。
言われるまで忘れていたのは、その素振りに慣れすぎてしまっているからだった。
日常生活には支障はないが、恐らく人間同士のふれあいというのもキツいだろう。
「付き合ったとして、なんも出来ないのも……」
「勘違いとはなんだ!!!」
「あ、今更そこ突っ込む?」

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