第3章 レモンの木(木兎光太郎)
は、2つ年下の幼馴染みで、身体も心も小さく弱く、いつも守ってあげていた。
だから、大人になったら必然的に結婚するんだとすら思っていた。
思っていた、というのは、たった今、付き合っていると俺だけが思い込んでいたという事実が判明したからだ。
「こうちゃん、私ね、か、彼氏できたの」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「そっか、よかったな!おめでと!」
「あ、ありがと…」
今まで、蝶よ花よと大切にしてきた可愛い幼馴染みは、簡単にどこぞの男に持っていかれてしまった。
恥ずかしそうに笑うその姿は、小さい頃よりずっと色気があり、可愛いと俺だけが思っていた容姿はアイドル級の可愛さになっている。
遠く離れていくと思うと、ますます羨ましくなった。