第2章 用心棒ときまぐれ姫(菅原孝支)
「……い、いるよ」
「えー!?誰?私の知ってる子?」
「知ってる…と思う…」
「言ってよー!力になるよー」
「…無理だよ、彼氏いる子だし、諦めてる」
まともに顔なんて見れなかった。
ちょっと泣きそうだし。
鼻が少し痛くなってくる。
「そっか…いつか、叶うといいね」
「…っ!さんには、わからないよ」
「何が?」
「俺の気持ちなんて。
だって、もう無理なんだ……。
俺のことなんて、どうでも良さそうだし、断られるの…目に見えてる。
でも、もう、今の、友達の関係まで壊すなら…、俺は黙って身を引く。
そう決めた」
「……そっか、菅原くんがそう決めたなら、いいんじゃないかな…」
さんは少し寂しそうな、切ない顔をすると、帰ろうと言ってくれた。
夕暮れの商店街は、いつも懐かしい気持ちになる。
子供の頃より、店も通りの雰囲気も大分変わったのに、気持ちだけは当時のままで。
きっと、俺みたいに、中身だけ大人になれなかった人の集まりなんだな、と人混みを歩きながら思った。