第9章 王子の休日
「何であんたがこれを…?」
「この前間違えて書類が入ってて、そのまま途中まで作業しちゃったの。それで中途半端なのもだめかなと思って、最後までやったんだけど…だめだったかな。」
ハヨンはリョンヘの方をちらっと見る。どうやら怒っては無さそうだ
(というか、ここで怒り出したら仕事を病的に好きな人になっちゃうか…)
「ありがとうな。あんたも仕事があるだろうに…。これからはこういうことしなくて、途中のままでも全然構わないから。」
「う、うん。でもね、リョンを手伝いたい気持ちはあるから、大変ではないし、全然嫌なことではないからね!」
ハヨンは少し照れながらリョンヘにそう伝える。彼女はどうも相手に大切だと伝えることに照れてしまうことが多いのだ。もしかすると照れ屋なのかもしれない。
ただ、時折みせるリョンヘやリョンヤンへの忠誠心から発せられる言葉の数々は照れずに言えてしまうのだから、周囲の人は驚かされるのだ。
「さて、なら俺はハヨンがしてくれた仕事の仕上げをするかな。」
リョンヘは机に向かって書名を始めた。ハヨンはその彼の仕事を黙って後ろで見守る。そんな一見静かな状況だが、ハヨンはリョンヘが仕事をできるだけせずに一日を過ごせる計画を実行すべく頭の中は目まぐるしく動いていた。
(次は確か…セチャン様がしてくださってるはず…)
ハヨンは彼の計画の成功を祈るばかりであった。