第9章 王子の休日
「…後、思いつく方法となればこれぐらいだろうか…」
セチャンはハヨンに少し声を潜めてその内容を伝えた。何となくリョンヘにはばれたくない心理からか、秘密会議のような雰囲気である。
ハヨンはその内容を聴いて、少しきょとんとした。
「こんな方法で…?」
「ああ、少し子供じみているかもしれないが、それが一番なんじゃないだろうか。それに、私がリョンヘ様に何か言うよりも、ハヨンがした方がすんなり行きそうな気がする。」
前から思ってたんだが、お前とリョンヘ様は信頼し合っているように思えるし、リョンヘ様はどうもお前に弱そうな気がするからな。と付け加えられて、ハヨンはなんだか気恥ずかしさと嬉しさではにかんでしまった。
(周りからはそんなふうにみえているのか…)
さすがにリョンの時のような砕けた様子などは見せていなかったが、何となく目があったら笑いかけてしまったりしていたので、それが理由かもしれない。
先程はセチャンに負けて悔しいような気分だったのに、有頂天になってしまいそうで、ハヨンの感情はかなり慌ただしいことになっている。
(こんなに落ち込んだり元気になっちゃう相手ってあんまりいないよなぁ…)
ハヨンはそう考えながら、表情をもとに戻すことに努力した。
「ではその作戦で行きます。」
ハヨンは真面目な表情に戻してそうセチャンに伝えた。
「ならば、明後日の予定を変更しておく。頼んだぞ。」