第8章 四獣のさだめ
「青龍がこちら側についてくれるので、非常に心強いが…。それだけではムニルへの負担が多い。私たちももちろん力を尽くすべく、そのときまで鍛練を忘れぬようにせねば。」
「もちろんでございます。私もそのような心積りです。」
リョンヘの言葉にセチャンは真っ先に応じた。ハヨンももちろんそのつもりだ。青龍と言えど人の心を持つ。それに神ではない。彼にばかり頼ってしまっては彼も疲れきってしまうだろう。
「…王子、あんたは…。他の四獣へも援護を求めないのかい?」
老婆はそう問いかける。リョンヘはその言葉を聴いて、困ったような表情を浮かべた。
「欲張りかもしれぬが、本当はそうしたい…。ただ、彼らがどこにおるのかわからぬのではどうしようもない…。」
青龍は運よく出会い、そこから今日まで至ったが、なにしろ四獣は伝説の話となってしまっている。しかも初代の王が倒れてから、その後の行方は誰も知らない。
その上、青龍が以前話していた通りなら、四獣の血は遺伝するものではない。ごく普通の人間の両親から生まれる。もしかすると四獣は歩き方も知らない赤ん坊かもしれないし、もう命もつきようとする老人かもしれない。どこに住んでいるのかもどんな人物かもわからない。そんな状況ではどうしても探しにくい。
「何となくならだが、わしは知っとるよ。」
老婆の言葉に衝撃が走る。本人はけろっとしていたが、みなは相変わらず得たいの知れない老婆が不思議でならなかった。