第8章 四獣のさだめ
「…それは何者だ?」
リョンヘの声は少し震えていた。彼女の言葉が信じられず、動揺したからだろう。
老婆はやはり言ってもいいのかとためらっているようにも見えた。しかし、刺すような視線をリョンヘに向け、ため息をつく。
「四獣だよ」
その場にいた者が一斉にざわめく。そしてその場にいた青龍のムニルにちらちらと視線を投げかけた。あんなに不遜で、王族は別に好きではないと言った彼が、そんなふうには見えなかったのだろう。
ムニル自身もぽかんとした表情だった。しかし、諦めきったようにこっそりため息をついたのをハヨンは見逃さなかった。
「それはどういうことだ?現にムニルには返事を保留にされているし、王族に思い入れはないとも言われた。」
リョンヘは老婆に問いかける。老婆は少しあきれた様子で鼻を鳴らした。
「そもそも四獣というのは王族と、古(いにしえ)からの繋がりで簡単には切っても切れない縁があるんだよ。確かにムニルとやらはそう言ったかも知れないが、四獣とはどうしても王族を守ってしまうのさ。」
ムニルは黙っていたが、諦めたように肩をすくめる。
「あーあ、こんなに早くばらされちゃうなんてね。ほんとはみんなが私を意識しなくなった頃に、こっそりこの城を抜け出そうと思ってたのに。」
と心底がっかりした様子だったので、実際にそのつもりだったらしい。
「そうよ、四獣というのは王族が危機に会っているのを見ると守らずにはいられない。本能的な使命があるの。」