第8章 四獣のさだめ
「招集に応じてくれてありがとう。今日みなを呼び出したのは、これからのことについてだ。」
リョンヘが席についた一同を見渡しながらそう言った。
「以前話し合って、体勢を調え、リョンヤンやその他の城で自由を奪われている者達を救いだし、最終的には城を反逆者から奪い返そうとなっていたな」
そうしようと決めてはいたが、再びリョンヘの口から聞くと、やはりかなり無茶なことを計画していると感じた。
みなもそう考えたのか、黙したまま、リョンヘの次の言葉を待った。
「そうなるとやはり、民に真実を伝え、こちら側についてもらうか、どこかから援軍をもらうしかない。援軍も考えられるのは滓ぐらいだ…。それにむしろ私達が表向きは反逆者となっている。そもそも援軍を出してもらえるかわからない。」
(やっぱり聴けば聴くほど絶望的だな…)
どんなことがあってもリョンヘの力になる。そう心には決めているものの、やはり心は沈んでしまう。
「私はこの真実を、民にも滓にも触れ書きや親書等ではなく、直接伝えたい。そのために、国でもまだやつらの手に落ちていない郡を探して赴いたり、滓を訪ねようと思う。手間のかかることだが、どうしても信頼のおける仲間がほしいのだ。」
リョンヘはどこまでも前向きだった。効率は悪い案だが、ハヨンは嫌ではなかった。
「そんなまどろっこしいことしなくても、いいじゃないか。なんたって、王族は獣が操れる。人でなくたってあんたに従順に従う兵士はいくらでも作れるんじゃよ?まぁ、わしとしてはあまりして欲しくない策だがな」
老婆の言葉に、ついにこの部屋には気まずい沈黙が流れたのだった。