第8章 四獣のさだめ
「もしかしてハヨンさんも王子からの招集?」
「そうなんです。もしかしてムニルさんもですか?」
そうハヨンがたずねると、ムニルは少し唇を尖らせて不満げな様子を見せる。
「そうなのよ。せっかく孟の市場にいるおばあちゃんとお茶する約束してたのに。まぁ、大事な話なんだろうし、仕方ないけどね。」
本当に、声と体格のことさえなければ、女性そのものに思える。ハヨンは先程の仕草を可愛らしくさえ思えてしまった。
一緒に行きましょう。とムニルからの誘いで、二人は再び歩き始める。
「それにしても、もうお茶のみ友達ができたなんて、ムニルさんすごいですね。」
「あら、ありがとう。昔から女の人に囲まれて暮らしてきたからかしらねぇ。女の人の方が友達は多いくらいなのよ。」
「お姉さんや妹さんですか?」
ハヨンは何度か姉妹が欲しいと思ったことがある。時折見かける兄弟で遊ぶ姿などを見てそれはそれは羨ましかったものだ。
ムニルはふふふふっと意味ありげに笑う。
「さぁ、どうでしょうね。」
そうやって、うまくかわされてゆくため、ハヨンはムニルの情報をあまり知らない。
(謎の多い人だな…)
ハヨンは先程の言葉を思い返しながら頭を捻るのだった。