第7章 錯綜
「…ヨンホ。友情を結ぶのは良いことだ。しかし、国の中心となるものは、時にはその情を断ち切ってでも国のために動かなければならない。それはお前もわかっているだろう?」
「…はい。しかし恐れながら、私にはまだまだリョンヘ殿を庇える状況であると思っているのです、父上。」
「ほう、なぜそのように思う。」
王は片眉を上げる。
「まず、使者のリョンヘ殿が城に同盟の書を手渡していないので、同盟がまだ仮のものでしかない、ということです。燐では王族の誰もが等しく王位継承権を持っております。そして王位を継ぐのは王が認めた者のみ。しかし、リョンヤン殿は継ぐようには言われておりません。まだ次の王は正式には決められないのです。」
そこでヨンホは一度話すのを止め、王を見る。
「最後に、これはこの国にも関わることです。以前闇取引が行われていたことが判明しましたよね?その相手は燐の国の者だった。恐らくこれは…今回の反逆者が関わっていたのではないでしょうか。そして燐での反逆はかなり大胆なものでした。恐らく圧倒的な力があるのでしょう。」
王は息子の険しい顔つきを見て、何を言わんとしているかはわかっていた。
「その反逆者はかなりの野心家と私は思いました。ならば、燐の国を制圧するだけではおさまらないでしょう。そうなれば、父上…。この国が攻め入られることもあり得なくは無いのです。」
王は息を一気に吐いた。なにやら息子に脅されているような気分である。