第5章 新たな仲間
「だからお願い。そんなこと言わないで欲しい。私はここにいるから。あなたのためなら何だってしようと思ってるから。遠慮なく何だってしていいし、私はそれについていく。」
そう言い終えてリョンヘの顔を見たとき、リョンヘは呆然とした表情を浮かべているようにもみえた。
「俺…。家族以外にそんなこと言われるの始めてだ。」
そう呟いた彼はひどく幼く見えて、どこかで迷っている幼子のような表情だ。何だかどこかに行ってしまいそうな気がして、ハヨンは包んでいた手にぎゅっと力をこめる。
「リョンヘ様。あなたは町の人からも慕われているし、あなたの臣下だって慕っているからここまでついて来てるでしょう?今あなたに味方すると言うことは、何もかもを捨てると言うこと。それを承知でついてきてくれた。だからあなたはもっと堂々とすればいいんだよ。必ず自分についてきてくれると信じていていいんだよ。…自信のない王だとみんな不安になる。そうでしょう?」
「…それもそうだな。」
リョンヘはかすかに笑んでハヨンの手を解き、握り直した。
「確かに心の底では俺には人を従えるような能力はないと怯えていた。ただな、ここまでついてきてくれた者達だ。必ず不安にさせないと誓っていた。そこでだ。なぜこれはあんただけを呼び出して、こんなことを問うたと思う…?」
ハヨンはなぜだかリョンヘの目から目を離せなくなった。その優しげな濡れ羽色の目は息を呑むほど美しかった。そして息が少し苦しい。
(なぜ…?)
ハヨンは今の状態と、リョンヘの問い、二つのことで混乱するのだった。