第5章 新たな仲間
「適当なことを言うと厳重に刑に処すことになるぞ…!!」
セチャンは挑発されたと思ったらしい。
「待て、セチャン。この人にも何か言いたいことがあるんだろう。生真面目なところはお前のいいところでもある。でも、そのせいでいささかお前はむきになってしまうところがある。こういうときはちゃんと相手の話を聴き終えてから決めなければ」
セチャンは申し訳ないといった様子で口をつぐんだ
セチャンはリョンヘよりも十以上歳が離れている。しかしこれが彼の才なのか、人のことを良く見ている。
(リョンヘ様は…王族に必要な獣を操る力はないけれど、人を見るという才能に長けている。国を治めるにあたってはとても大事な才能だ…)
ハヨンはこの国のしきたりを少し恨めしく思った。以前、彼女はこの獣を操る力で助けられ、兵士を志したが、今ではずいぶん王族に持つ感情が変わっていた。
「私はあんたに知らせに来たのだ。」
老婆は口を開いた。ハヨンはとっさにセチャンへ視線を向ける。あんた呼ばわりに怒りはしないかとほぼ反射的なものだった。
彼は顔色が少し白んではいたが、苦虫を噛み潰したような渋面のまま耐えていた。
「ほう。それはありがたい。その知らせとは?」
リョンヘは椅子から少し身を乗り出す。
「あんたを今回城から追い出した首謀者を知っていると言うことさ。」
部屋の中は水を打ったような静けさが広がった。ハヨンはその時、リョンヘが椅子のひじ掛けを強く握ったところを見逃さなかった。