第5章 新たな仲間
(どうしたものか…)
セチャンの問いに困ったリョンヘはぐっと眉を寄せた。先程セチャンの言葉を聞いたハヨンが少し腰を浮かしかけたのを見てしまったからだ。
そして残念そうな表情をしているのも今ここから見えている。ハヨンは公務ではあまり感情的になる印象がない。情には篤いが敵が現れたときも冷静に対処し、表情から考えを読めるなどということは今まで見たことがなかった。
(ただ単にリョンヤンにはこういうところは見せていたけど、他の人には見せなかったというのもあり得なくはないけどな…)
リョンヘは自分の知らないハヨンを知っているリョンヤンが少し羨ましかった。そうは言っても、リョンヘの場合はリョンの時にハヨンと関わりがあるので、どっちもどっちと言えるかもしれない。
(護衛を頼むならやはり腕も良く、経験も豊富なセチャンか…。流石にハヨンは怪我人だ。任せられない…。というか無理をさせたくない。)
自分を守ってくれる人物を決めろと言われているのに、いつの間にかハヨンの心情をはかろうとしていた。
(ここでは公私をきっちり守らないとな。統率が乱れる。)
「セチャン、頼む。」
「承知いたしました。」
「それでは私たちは退席を…」
向かいに座っていた兵士が立ち上がる。それにならってハヨンやムニルも退席しようとした。
「待て、ハヨン。」
「はい」
「後で話がある。お前はここにいろ。」
ハヨンは表情を明るくした。その表情を見て、リョンヘは複雑な感情になる。正直に言うと、リョンヘはハヨンをどう扱えば良いか悩んでいたのだ。