第5章 新たな仲間
周りにいる者は唖然とした。このように王族の目の前で不敬と言われかねない発言をする者がいると思っていなかったからだ。
「貴様…っ、四獣は王を支える友なのだろう?」
青龍だから、と耐えていたが、我慢の限界らしい。兵士の一人が椅子から大きな音を立てて立ちあがり、激した。
「おい、イソク。私は気にしていない。そう怒るな。彼は命の恩人だ。助けてくれてくれた理由はどうであれ、私は感謝している」
リョンヘはその兵士の言葉を遮り、青龍に頭を下げる。その姿を見てようやくイソクは黙した。
「彼は私を王族の友人と言ったわよね?言っておくけど、私達は初代の四獣ではないわよ。」
「初代の…?」
みな訝しげな表情になる。何しろ四獣が何代もあるものだと思っていないからだ。
「四獣は…子孫がいらっしゃるのか…?」
とあるものがそうおそるおそる口に出す。青龍は鼻で笑った。
「そんなまさか。私の両親は普通の人よ。そう何人も四獣がいるわけないでしょう?」
確かに、親のどちらかが四獣ならば、子供が出来ると二人存在することになる。彼もそう気づいて押しだまった。何やら気まずい沈黙が生まれる。
「よくはわからないけれど、四獣はこの世にそれぞれ一人しかいないし、私はちゃんと両親のお腹から生まれている。きっと生まれた誰かが四獣に選ばれているのじゃないかしら?だから、私には王への親しみも全くないし、初代の記憶も持ってない。そんな状態で急に友人と思えと言われてもねぇ」
青龍はどうやら物事を物怖じせずに言ってしまう性分らしい。ハヨンは誰かの気に触りはしないかと少しはらはらするのだった。