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華の剣士 2 四獣篇

第4章 孟の地


ハヨンはもう一度彼の体を見る。どう見たって尻尾は生えてこないし、角も出ていない。


「私には龍には見えないのですが…」


「…しょうがないわね…」


そう言うと彼は衿元を大きく広げ始めた。


「な、何をする気だっ!」


焦るように隣にいた兵が叫ぶ。


「何って。私が青龍なのを証明するのよ。あら、何かおかしなことを想像したのかしら?悪いけど、私は歴とした男だから。安心して。」


青龍の言葉にみるみる彼は赤くなった。青龍の言葉遣いや顔つきは女性的な雰囲気だ。何だかこうされると申し訳ない気持ちになるのだろう。


(まぁね、彼の言いたいことも何となくわかるけどさ…)


そして青龍は上半身を晒し、後ろを向く。一同ははっとなる。うなじから腰にかけて、うねるような形で鱗が一部分に生えていたのだ。それはまさしく青龍のものと同じ色をしていたのだ。


「私はれっきとした青龍の生まれ変わりのムニルよ。」


そう居直ってから彼はそう名乗った。


「申し訳ありません!そうとは知らず…!」


周りの兵士は急に腰が低くなった。今にも平伏せんとばかりの勢いだ。



「あーあー、いいからそういうの。私、そういう堅苦しいの大っ嫌いなのよねぇ。だから話したくなくてさっきまで青龍の姿のままでいたのよ。」


と虫を追い払うようなしぐさをする。


「あの…」


ハヨンはためらいがちに声をかける。


「あら、何かしら?」



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