第3章 逃亡
「ならば診てもらう必要のある負傷者は何人だ」
その場で二人手を挙げる。彼らも後から悪化したようだ。
その他に幸い無傷だった兵士三人をハヨンたちの移動を補助する役にし、もう一人を護衛としてつける。
山道では無理だと馬に乗っていなかったのだが、負傷者達は馬にのせられ、それを兵士が引いてゆく形が出来上がった。
そして二手に別れて一同は歩み始める。ハヨンは何となく振り返って青龍を見つめる。
(本当にどっかで見たことあるのかな…)
ハヨンはその姿を見た覚えがあるように思えてならなかった。しかし、そんなものをみれば何かしら大騒ぎになったはずだ。
(それに見たことあるのともちょっと違う気がする…そう、久しぶりに友達にあったような…)
龍と友達なんてあり得ない。ハヨンは城で龍と会ってからこの感覚が消えず、気になって仕方なかった。
(もう一度彼らと合流したときに考えるかな…)
ハヨンは再び前を見据え、一刻も速くヒョンテの元へたどりつよう祈った。
「王子」
一方ハヨンたちと別れたリョンヘとセチャン、そして兵士達は山道を歩いていく。
「何だセチャン。」
リョンヘは隣を歩く男をふりあおいだ。そう、セチャンは燐の国の男にしては少し上背があるのだ。
「ハヨンのことでお尋ねしたいことがあるのです。」