第3章 逃亡
「城の前ならまだしも、ここまで来たのなら逆に一人でいる方が危ない。それにここで体力を回復させるなんてどうやるって言うんだ!その傷では不可能だろう…!」
よほど怒っているのか、王族の口調ではなかった。懐かしいリョンのときのままだ。
「しかし、このまま私がついていきますと足手まといになってしまいます。」
「ならば私が背負う。」
その言葉に周りの者たちは仰天した。王が部下を背負うなど前代未聞である。
「しかし…」
「これ以上言うな!あんたは俺の護衛者だろう…!!ならばこれからも私を守らなければならない。他に適任者はいない。あんただけなんだ!だから今は窮地のあんたに力になる。だから、後でそのぶんを返してくれたら俺はそれでいい!」
かなり無茶なことを言っているのは、リョンヘも周りの者もわかっていた。
「私のもとにいる者たちは数少ない…。しかし、こうしてそばにいてくれる者たちはできる限り失いたくない。私は今回の事でみなの地位や名誉、すむ場所、家族…様々なものを奪ってしまった。いつか必ず皆をもとの場所へ戻したい…。」
リョンヘはぐっと眉を寄せた