第14章 己の正体
「つまり、俺が変われってことか…?」
「そう言うことだね。面倒だけど、人に変わってもらうには、自分から変わる他無いんだよ。」
ソリャは黙りこんでしまった。何やら考えているようで、そっとしておくことにする。
「ところでソリャは白虎の姿にはなれるのかい?」
老婆はそう残る三人にたずねた。
「白虎の姿を誰かに見られたのなら噂になるだろうし、ソリャ自身も今の姿についてしか言及しているところを見たことがないので、多分なれないんだと思います。」
ハヨンは人々がソリャについて噂していた内容を一つ一つ思い返す。
「私もそう思うわ。あの姿になれたら、もう少し自分への認識も変わってくると思うの。化け物って言うより…。虎って考えそうな気もするのだけど…」
「そうじゃな。ちなみに言っておくと、ムニル、あんたが竜の姿になれるのは、自分が何者かをはっきり認識しているからじゃ。あれは四獣の本来の姿だ。」
ハヨンやリョンヘにとっては実感の沸きにくい話なので、どうしても理解するのにも遅れてしまうのだが、ムニルはふぅん、と訳知り顔だった。
「じゃあ私のあの姿は、伝説のあの青龍と寸分違わない訳ね」
「そういうことになるの。」
「本来の姿?」
考え込んでいたソリャは、いつのまにかこちらの会話を聴いていたらしい。
「そう。もしかすると、いつかはお前も白虎に変化する力を得られるかもしれぬな。」
「白虎…。ここには青龍のムニルがいるだけだけど、リョンは他の二人もここに呼ぶつもりなのか?それと、俺に何をして欲しいんだ?」
王城を取り戻したい、自身の兄を救いたい、国を反逆者から守りたい、そう言ったことは聴いていたが、やはり実感がわかないからだろう。確かに、四獣を呼んで、戦いの力になってほしいとは思っていたが、具体的には決まっていなかった。
何せことを急いで運ばねばならなかったので、戦力になる四獣に助けを求めることについて必死になっていたのだ。