• テキストサイズ

華の剣士 2 四獣篇

第10章 形単影隻


「へっ、でもどうなんだよ?結局はみんな力の下で生きてるじゃねぇか。例えば王の力には、みんな逆らえねぇ。これが一番分かりやすい例だろ?」


自分だけを心から愛し、育ててくれる親がいなかった子供達は、早くからこの世の理不尽なものを知っていた。この孤児院を出れば、自分達は誰の比護も無しに、一人でこの地に立っていかねばならないからだ。


そして年上の中でも最も上背があり、年上連中を纏める存在であった少年はにやにやと笑いだした。


白虎はいきなりなぜ笑いだすのかがわからず、困惑する。


「そして、てめぇはその力の下にいるやつらでも一番下にいるってことをそろそろ覚えてもらわなくちゃなぁ。」


少年は顎でいけと合図した。それと同時に少年の取り巻きである連中が白虎に殴りかかってくる。


「どう言うことだ!」


白虎は周囲を囲まれ、次々と降ってくる拳を避けきれずにいた。まだまだ白虎は背も小さく、年上の体格のよい少年達の拳は、脅威だ。今までのように二、三人を相手にするならともかく、この人数ではどうしようもなかった。


しまいめには白虎は一人の少年に組敷かれ、騒ぎが聴こえないように口には布を突っ込まれた。年少の者達はみな遠くに追いやったらしい。白虎と年上の連中以外、この庭には誰もいなかった。


孤児院の外を歩くものはいるが、この場にいるものたちが白虎を取り囲んで立っているので、何が起こっているかわかっていないようだった。


(やめろ…!やめてくれ…!)


白虎はこれから起こることを思いだし、冷や汗を流す。

/ 210ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp