第10章 Episode 9
「レコーディングが終わったら、ゼロアリーナのこけら落とし見に行くし、予定通りに終わらせないと」
ベッドにダイブして気合を入れ直すと、携帯が鳴った。
「もしもし、お兄ちゃん?」
『さくら、レコーディングお疲れ様。ついて行けなくてごめんな。どうだった?』
「大丈夫だって!レコーディングは順調だったよ。こけら落としまでには終わらせないとなーって考えてたところ」
『それならよかった。3日間とも見に行くんだっけ?』
「そうだよ。TRIGGERのは天からいい席のチケット貰った」
『え!?いつの間に!?』
ああ、遊びに行ったこと言ってなかったっけ。
追求されると面倒臭くなりそうだと思い、そういえば、と話題を変えた。
「レコーディングが終わったら、お兄ちゃんに相談したいことがあるんだけど...」
『相談したいこと...?』
「うん。いいかな?」
『ああ、いいよ。今はいい歌を歌うことだけを考えて』
「うん。ありがとう」
『じゃあ、ゆっくり休むんだよ。おやすみ』
「おやすみ、お兄ちゃん」
そして私は順調にレコーディングを終わらせ、あとは編集を待って確認するだけとなった。
明日お兄ちゃんは大和と日帰り温泉に行くと言っていたから、その前に百くんのことを相談しよう。
お兄ちゃんなら、きっとRe:valeを助けてくれる。
そう考えていたが、レコーディングを終わらせた達成感と疲労感で、私はすぐに眠ってしまっていた。