第10章 Episode 9
アルバムのレコーディングが始まった。
今回は既存の曲に加えて新曲も多い。
私はお気に入りであるももとりんごのスパークリングと軽食をお供に、レコーディングスタジオへやって来た。
普段のレコーディングはお兄ちゃんが付き添ってくれるが、ゼロの件でIDOLiSH7が大忙しなため、今日は不在だ。
「おはようございます!」
「おはよう、Sakuraさん。今日からよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
ディレクターさんを始めとするスタッフさん達と挨拶を交わしてから、私は準備をし始める。
ヒールを脱ぎ、フラットな靴に履き替え、ももりんを1口。
レコーディング前に炭酸は飲まない人が多いが、好きなものを飲んでモチベーションを上げることが1番だと私は思っている。
「じゃあ少し声出ししようか」
「はい」
ブースに入りヘッドホンを装着する。
そしてヘッドホンから聴こえてくる音に合わせて声を出す。
うん、調子はいい。
「よし、いい感じだね。それじゃあ1曲目から録っていこう!」
ディレクターさんからの声に、私は頷く。
耳から聴こえてくるメロディーを合わせて、マイクが音を拾わない程度にリズムをとる。
この曲はIDOLiSH7のみんなからヒントをもらった曲。
みんなとの日常を思い浮かべながら、順に録っていく。
「はい、OK!今日はここまでにしておこう」
数曲録り終えたところで今日のレコーディングは終了した。
リテイクも少なく、なかなか良い感じで録れたと思う。
私はヘッドホンを外し、ブースから出る。
「ありがとうございました!」
「いい感じだったよ!次はバラード2曲だから、よろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
軽く雑談をしてから、私は身支度を済ませ帰宅した。
お兄ちゃんにラビチャをしておこう。
レコーディングについてこれないことを気にしていたし。