第6章 Episode 5
「三月元気なかったしなぁ...」
ご飯をお腹一杯食べれば少しは元気になってくれるだろうか。IDOLiSH7のムードメーカーに元気がなければ、周りもきっと沈んでしまう。
早く帰って作って、持って行ってあげよう。
「こんばんはー誰かいるー?」
「さくらさん、こんばんは。今はみんないますよ」
出迎えてくれたのは壮五だった。
リビングへ通されると、リビングでは一織と環が学校の宿題をしているところだった。
恐らく壮五と一織が環に教えてあげていたのだろう。
「環お腹空いてる?」
「いつでも、空いてる」
「あはは、それはよかった。ブリ大根食べる?」
「食う!」
「おー、さくら!晩飯作るの手伝ってくれねぇ?」
キッチンから顔を出したのは三月だった。
昼間見た時は暗い顔をしていたが、今はそうでもないようだ。見間違いだったのかな。
「何作ってるの?」
「おひたしとブリ照りと米と味噌汁!」
「ブリ被りしちゃった」
「ブリ被り?」
「ブリ大根作って来たんだ。大丈夫かな?」
「何でも食うだろ!寧ろ和食同士で合ってるし問題ない!」
確かにがっつり洋食とかだとブリ大根は合わないもんね。きっとみんな食べてくれるだろうけど。
手を洗ってほうれん草のおひたしを作っている間に、三月がブリを焼いている。
照り焼きのいい匂いがキッチンに漂っていた。
「今日ブリ安かったもんね」
「え?さくらもしかしてショッピングモールにいた?」
「うん。声掛けたんだけど、聞こえなかったみたいだった」
「マジか、ごめんな!」
「それは大丈夫。だけど、三月何だか浮かない顔してたからどうしたのかなって。何かあった?」
何でもねぇよ!と言って笑う三月の顔には覇気がない。無理に聞くのも野暮だと思い、その話はそれっきりだった。
ご飯が完成すると、環が他のメンバーを呼びに行き私も一緒にご飯を頂いた。