第6章 Episode 5
「陸、まだ体調良くない?」
「えっ!?いや、もう大丈夫です!」
「箸進んでないから。無理しちゃだめだよ。食べれるものだけ食べな」
「...はい」
どうやら陸も元気がないようだ。
いつも元気なIDOLiSH7。誰かに元気がないとみんなが元気がなくなってしまって、なんだか寂しい。
「三月のご飯、美味しいね」
「な、なんだよ急に!」
「美味しいご飯食べたら、なんか元気出ない?」
「腹が減っては、戦ができぬ!さっき、そーちゃんに教えてもらった」
「ぶはっ、そうだな!」
どやっと言い放つ環に、三月が堪らず笑い出す。その様子に陸も他のみんなも笑い出して、とても和やかな空気で食卓を囲んだ。
ああ、この空気が好きだな。
「あっ!いい歌詞浮かんだ!!一織ノートとペン借りるよ!」
食事の最中に行儀が悪いのは承知だが、今浮かんだ歌詞を逃したくない。
リビングの机に置いてあった一織のルーズリーフのノートとペンを借りると、私は頭に浮かんだ歌詞をスラスラと書き留める。
この暖かい感じ。どうしてもこれを歌にしたい。
家族、友達、恋人、仲間──誰にでもあるこの暖かい感情を伝えたい。届けたい。
ペンが止まる頃には、ご飯は少し冷めてしまっていた。