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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第10章 誤解



幼馴染の2人だが、いつもは甲斐が木手に折れる形で従っていたところがある。

なのに今の目の前の2人からは普段の様子は微塵も感じられなかった。

「おーえーや(喧嘩は)やめろ!何をそんなにわじっとるんばぁ(イラついてるんだ)?」

「……平古場クンには関係のないことです」

ちっ、と木手は舌打ちをして甲斐の胸ぐらを掴んでいた手を緩めた。
それでもその片方で強く握りしめられた拳の形は変わることがなかった。

「やー、ふらー(バカ)やっさー!それも相当やっさ!今まで如月さんぬ何を見てたんばーよ?」

「ぬぶしらんけー!(調子にのるな)」

「えー!(おい!)いい加減にしろ、永四郎!裕次郎も」

再び拳を振り上げた木手と今度はそれに応戦しようと態勢を整える甲斐の間に平古場が割って入る。
今この状況で信じあえるのはここにいる仲間だけだというのに。

こんなところで仲間割れをしていては木手の計画する脱出計画も上手くいかないのではないかと平古場は不安になる。

「やーら(お前ら)、ちょっと落ち着け」

「………」

無言のまま睨み合う2人の間で平古場は深いため息をついた。

木手が如月のことを憎からず思っていることを、以前甲斐と2人で話したことがある。
そして多分如月の方も満更でないことも。

年の差はあれどいい雰囲気でいる2人を見ると、自然と応援したくなり、甲斐と平古場は何かと2人でいられるように気を回したものだった。

合宿の陰謀についてあれこれと探る険しい顔の木手よりも、如月といる時の柔らかい雰囲気の木手の方が平古場は好きだった。
最初はあの慇懃無礼で大抵のことには眉一つ動かさないクールな木手が如月といるとペースを崩され振り回される形になっているのが
おかしくてからかうような気持ちが大きかった。

しかし2人を見ていると自然と頬が緩んであたたかい気持ちになっている自分に、平古場はいつしか気づいていた。
それは甲斐も同じかそれ以上だったようで、平古場より積極的に2人をくっつけようと躍起になっていた。

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