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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第11章 終わりよければすべて良し



大声を張り上げる甲斐くんと平古場くんに反して、木手くんは微笑んでじっとこちらを見つめるだけで。
彼らしいといえば彼らしいその別れの場面に、少しだけ寂しさを感じる。

船がゆっくりと動き出し、島と船の間に少しずつ青い海が広がっていく。
みるみるうちに大きく開くその距離はもう止められない。

船の汽笛が、たなびく白い雲のように低く大きく響く。
小さくなっていく皆から視線を外せないでいた私の目に、木手くんが大きな手を口元にメガホンのようにあて大声を張り上げる姿が映る。

彼の声は距離と汽笛によってかき消されてしまって私の耳に届くことはなかった。

今度会った時には、きちんと私に届く距離で。
キミの言葉を伝えてくれるかな――。












***



「え、永四郎…急に大声出さんけー!(出すなよ)」

「しかもなんね、今頃…ありゃ聞こえてないぞ、かんなじ(絶対)」

同郷の自分達の他には、彼の叫んだ言葉の意味を知る者はいないだろう。
けれど木手の口から、しかもあんな大声でその言葉が発せられると思っていなかった2人は顔を見合わせて笑った。

「今度はちゃんと本人に伝えろ~『かなさんどー』って」

ギラリと眼鏡を光らせつつも、木手の目の奥は「当たり前でしょ」と笑っていた。










-fin-



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